No.08の言葉を、短くおさらいします。
例はどれも架空の設計部署の話です。 それぞれ「今の手作業」「フローの形」「契約と設定の見立て」の順で書きます。
フローの形は、矢印で書きます。 「トリガー → アクション → アクション」の順に動く、という意味です。
○ 契約の見立ては、2026-11-08時点の公式の一覧を元にした目安です。あなたの会社で使えるかは、最後はIT部門に確かめます
○ アクションの名前は、日本語の公式ページで確かめられた物は日本語で書き、確かめられなかった物には英語名を添えています。画面の表記は版によって少し違うことがあります
設計変更をするたびに、担当者が変更内容をメールに書いて課長に送ります。 課長の返事を待ち、OKなら変更の一覧表に「承認済み」と手で書き込みます。
困るのは、返事がメールに埋もれることです。 誰の承認が止まっているのか、一覧表を見ても分かりません。
設計変更の依頼を、SharePointのリストに1行で書いてもらう形にします。 SharePointのリストは、チームで共有するExcelのような表です。
SharePoint「アイテムが作成されたとき」 → 承認「開始して承認を待機」(課長に承認を依頼し、返事を待つ) → 条件「承認者の応答が『承認』と等しい」 → はい:Outlook「メールを送信 (V2)」で依頼者に知らせ、SharePoint「アイテムの更新」で一覧に承認済みと書く → いいえ:Outlookで依頼者に却下を知らせ、一覧に却下と書く
承認の依頼を受けた課長は、届いたメールや、Power Automateの承認センターから返事ができます。 一覧表を見れば、どの依頼が止まっているかが分かるようになります。
使うコネクタは、SharePoint・承認(Standard approvals)・Office 365 Outlookです。 どれも標準コネクタの一覧に入っているので、Microsoft 365の契約の範囲で作れる見込みです。
注意が1つあります。 フローが動き続けられる期間には上限があり、公式は30日を超えそうな承認には別のやり方を勧めています。 長く止まりがちな承認なら、催促の仕組みを先に考えておきます。
○ 承認の種類は「最初に応答した人で決まる」形のほか、順番に回す形も選べます。2人以上に回す時は、公式の「承認段階」の手順を見ます
○ 社外の人に承認を頼むには、その人を自社のゲストとして招く設定が要ります。ここはIT部門の判断です
試験室が、試験データのファイルをSharePointの「試験データ」フォルダに置きます。 置いたことは、試験室の人がTeamsで設計担当に一言送っています。 送り忘れると、データが何日も置かれたままになります。
SharePoint「ファイルが作成されたとき (プロパティのみ)」(英語では When a file is created (properties only)) → Teams「チャットまたはチャネルでメッセージを投稿する」(英語では Post message in a chat or channel)
投稿する文には、前の手順の値(ファイル名やリンク)を差し込めます。 「新しい試験データが届きました:ファイル名」のような投稿になります。
通知のフローは、止まっても誰も気づかないのが一番の弱点です。 通知が来ないことに、人はなかなか気づけないからです。
そこで、失敗した時だけ自分にメールが来る手順を足します。 Teamsへの投稿の後ろに、Outlookの「メールを送信 (V2)」を置きます。 そのアクションの設定タブで「実行条件」(英語では Run after)を開き、前の手順が失敗した時だけ動くようにします。
ふだんの設定では、アクションは前の手順が成功した時だけ動きます。 この設定を変えると、成功・失敗・時間切れ・飛ばされた時のどれで動くかを選べます。
このフローで使うコネクタは、SharePoint・Microsoft Teams・Office 365 Outlookで、どれも標準です。 Microsoft 365の契約の範囲で作れる見込みです。
ただし、Teamsに投稿するアクションには条件があります。 会社のTeamsで「ワークフロー」アプリ(英語では Workflows。旧名は Power Automate)が許可されている必要があります。 投稿できない時は、IT部門にこの許可を確かめてもらいます。
報告書・図面・議事録が、チームの「受付」フォルダに混ざって届きます。 週に1回、担当者がファイル名を見て、種類ごとのフォルダに手で移しています。
ファイル名には頭に種類の記号を付ける決まりにします。 たとえば、試験報告書は「TR-」・図面は「DW-」・議事録は「MN-」です。
SharePoint「ファイルが作成されたとき (プロパティのみ)」 → 条件「ファイル名が TR- で始まる」 → はい:SharePoint「ファイルの移動」(英語では Move file)で「試験報告書」フォルダへ → 同じように DW-・MN- の条件を並べる
使うのはSharePointのコネクタだけで、標準です。 Microsoft 365の契約の範囲で作れる見込みです。 ファイル名の決まりを守ってもらうことが、このフローの前提になります。
ここからは、追加の契約や設定が要りそうな側です。
社内のファイルサーバーのフォルダを、クラウドフローから触るには、社内とクラウドをつなぐ中継の仕組みが要ります。 公式ではこれをオンプレミス データ ゲートウェイと呼び、Power Automate Premiumなどの契約に含まれる機能です。 Microsoft 365の契約だけでは含まれません。
自分のパソコンのフォルダなら、デスクトップフローでも仕分けられます。 Windowsのパソコンで、自分で手元から動かす使い方は、Windowsについてくる範囲に入っています。 一方で、決まった時刻に自動で動かす使い方や、クラウドフローから起動する使い方には、別の契約が要ります。
ファイル整理は、置き場所がSharePointかどうかで、要る契約が大きく変わります。 置き場所を変えられるなら、先にSharePointへ移す方が早く始められます。 どの契約で何ができるかの細かい線引きは、公式で確認してください。
| 例 | 使う主な部品 | 見立て |
|---|---|---|
| 設計変更の承認 | SharePoint・承認・Outlook | 標準で足りる見込み |
| 試験データの通知 | SharePoint・Teams・Outlook | 標準で足りる見込み。Teamsのワークフローアプリの許可が要る |
| 受付の仕分け(SharePoint) | SharePoint | 標準で足りる見込み |
| 受付の仕分け(ファイルサーバー) | オンプレミス データ ゲートウェイ | 追加の契約が要る見込み(公式で確認) |
| 受付の仕分け(自分のパソコンを自動で) | デスクトップフロー | 手元で動かすだけなら範囲内。自動で動かすなら追加の契約が要る見込み(公式で確認) |
契約が足りていても、会社のルールで止まることがあります。
管理者は「データ ポリシー」という仕組みで、使ってよいコネクタを決められます。 禁止されたコネクタを使ったフローは、保存できません。 後からルールが変わると、動いていたフローが止まることもあります。
作り始める前に、使うコネクタが社内で許可されているかをIT部門に聞いておくと、作り直しを防げます。 聞き方の例はこうです。
Power Automateで、SharePoint・承認・Outlook・Teamsの標準コネクタを使うクラウドフローを作りたいです。社内のデータ ポリシーで使えますか。
○ どれから始めるか:失敗しても困らない「通知」から始めると安心です。承認は人の仕事の流れを変えるので、関係者に話してから作ります
○ 関係する単元:No.08(Power Automateの基本)。社内に広げる時の順番は No.10(後で出ます)
承認・通知・SharePoint上のファイル整理は、標準コネクタの範囲で作れる見込み。ファイルサーバーや、パソコン操作を自動で動かす使い方は追加の契約が要りそう。通知には「失敗した時だけ自分に知らせる」手順を足す。
問1 設計変更の依頼をSharePointのリストに書いたら、課長に承認を依頼して返事を待つフローを作りたい。承認を依頼して待つ部分に使うアクションはどれか。
問2 試験データが届いたらTeamsに投稿するフローを作った。止まっても気づけるようにするには、どうするのがよいか。
問3 受付フォルダの仕分けを自動にしたい。受付は社内のファイルサーバーにある。見立てとして正しいものはどれか。
出典: - https://learn.microsoft.com/ja-jp/power-automate/modern-approvals - https://learn.microsoft.com/en-us/connectors/connector-reference/connector-reference-standard-connectors - https://learn.microsoft.com/en-us/connectors/sharepointonline/ - https://learn.microsoft.com/en-us/connectors/teams/ - https://learn.microsoft.com/en-us/connectors/office365/ - https://learn.microsoft.com/en-us/power-automate/flows-designer - https://learn.microsoft.com/en-us/power-automate/guidance/coding-guidelines/error-handling - https://learn.microsoft.com/en-us/power-platform/admin/power-automate-licensing/types - https://learn.microsoft.com/en-us/power-platform/admin/power-automate-licensing/deep-dive-on-specific-license - https://learn.microsoft.com/en-us/power-platform/admin/wp-data-loss-prevention
お知らせ:2026-11-08時点の公式に基づく。コネクタの区分と契約の範囲は変わることがあるので、作る前に公式とIT部門で確かめてください。