Microsoftで仕事を軽くする講座

区分4 自動化する★★★

No.08 Power Automateの基本

毎週同じ手順で回している作業を、人の手から外すための道具がPower Automateです。この単元では、フローの2つの種類・「きっかけ→動作」という作り・つなぐ部品(コネクタ)・最初の1本の作り方を扱います。自動化の土台になる回なので、しっかり読みます。
目次
  1. 第0章 前提知識
  2. 第1章 フローは2種類
  3. 第2章 きっかけ→動作
  4. 第3章 コネクタ:つなぐ部品
  5. 第4章 最初の1本を作る
  6. 確認問題

第0章 前提知識

① Power Automate:決まった手順を自動で回す道具 必ず覚える

Power Automateは、「〜が起きたら〜をする」という段取りを登録しておくと、その通りに動いてくれる道具です。 登録した段取りの1本1本をフローと呼びます。

プログラムは書きません。 画面で部品を選んで並べるか、作りたい事を文章で書いてCopilotに組み立ててもらいます。

たとえるなら、工程表を機械に渡すことです。 「試験データがフォルダに入ったら、担当者にメールする」と書いた紙を渡しておくと、夜中でも休日でも同じ通りに動きます。

② CopilotやエージェントとPower Automateの違い

Copilotやエージェントは、聞かれたら考えて答える道具です。 答えは毎回少しずつ変わります。

フローは、決めた通りにしか動きません。 その代わり、何百回やっても同じ結果になります。

○ 向き不向き:毎回判断が要る作業はCopilotやエージェント、手順が決まっていて繰り返す作業はフロー
○ よくある勘違い:「AIだから、手順を決めなくても良い感じにやってくれる」と思うと外れます。フローは、手順が言葉で書ける作業に当てます

第1章 フローは2種類

① クラウドフロー:Microsoft 365の中で動く 必ず覚える

クラウドフローは、インターネットの向こう側(クラウド)で動くフローです。 あなたのパソコンの電源が切れていても動きます。 Outlook・Teams・SharePoint・Excelなどをつないで動かすのが得意です。SharePointは、社内でファイルを置いて共有する場所です。

始まり方で3種類に分かれます。

種類(公式の呼び名) 始まり方 設計業務での例
自動化したクラウド フロー 何かが起きた時 試験データがフォルダに入ったら、担当者に知らせる
インスタント クラウド フロー ボタンを押した時 ボタン1つで、チームに「レビューお願いします」と送る
スケジュール済みクラウド フロー 決めた日時 毎週金曜の15時に、週報づくりを始める合図を自分に送る

② デスクトップフロー:自分のパソコンの画面操作をまねる

デスクトップフローは、あなたのWindowsパソコンの上で動くフローです。 人がやるマウス操作やキーボード入力をまねて、アプリを動かします。 この仕組みを、公式ではRPA(ロボットによる作業の自動化)と呼んでいます。名前だけ知っていれば十分で、この講座で深くは扱いません。

作るには「Power Automate for desktop」というWindowsのアプリを使います。 Windows 10・Windows 11で動き、Macでは使えません。 ARMという種類の部品(CPU)を積んだパソコンにも対応していません。関係するのはデスクトップフローを使う時だけです。自分のパソコンがARMかどうか分からなければ、その時にIT部門に聞けば分かります。

古い社内システムのように、つなぐ部品が無いアプリを動かす時に使います。 たとえば、昔からある部品管理システムに、毎日同じ項目を入力する作業です。

③ どちらを使うか 必ず覚える

先にクラウドフローで作れないかを考えます。 クラウドフローは、パソコンを付けっぱなしにしなくてよく、画面が変わっても止まりにくいからです。

クラウドフローでつなげないアプリが残った時だけ、デスクトップフローを使います。 画面の操作をまねる仕組みなので、アプリの画面が変わると動かなくなることがあるからです。

○ デスクトップフローを会社のアカウントで作るには、IT部門の準備(Dataverseという保存場所の用意)が要ることがあります。Dataverseは、作ったフローなどを会社の側でしまっておく場所です。準備するのはIT部門なので、あなたは「デスクトップフローを使いたい」と伝えるだけで足ります
○ デスクトップフローをクラウドフローから起動するなどの使い方には、別の契約が要ります。詳しくは第3章③

第2章 きっかけ→動作

① トリガー:フローを始めるきっかけ 必ず覚える

どのフローも、「きっかけ」と「動作」の組み合わせでできています。 きっかけを公式ではトリガーと呼びます。

トリガーの例はこうです。

フローは必ずトリガーから始まります。 画面では、いちばん上の箱がトリガーです。

② アクション:きっかけの後にやること

きっかけの後にやる事をアクションと呼びます。 メールを送る・Teamsに投稿する・ファイルを移す・表に1行足す、といった事です。

アクションはいくつでも並べられます。 上から順番に動きます。

保存するには、トリガーが1つと、アクションが少なくとも1つ要ります。

③ 条件と、前の結果の受け渡し

アクションの間に「条件」を挟むと、分かれ道を作れます。 たとえば「承認なら、こちら。却下なら、あちら」です。

前の手順で取れた情報は、後の手順で使えます。 メールの件名を、次のメールの本文に差し込む、といった事です。 この差し込む値を、画面では「動的コンテンツ」と呼びます。稲妻の印から選びます。

第3章 コネクタ:つなぐ部品

① コネクタとは

コネクタは、Power Automateと他のサービスをつなぐ部品です。 Outlook用・Teams用・SharePoint用のように、サービスごとに用意されています。

コネクタの中に、そのサービス用のトリガーとアクションが入っています。 たとえばOutlookのコネクタには「メールを送信 (V2)」というアクションがあります。

初めて使うコネクタでは、サインインして「接続」を作ります。 フローがあなたの代わりにそのサービスを使うための許可です。

② 標準とプレミアム 必ず覚える

コネクタには、大きく「標準」と「プレミアム」の区分があります。 自分で作る「カスタム」コネクタもあります。

Microsoft 365の契約があれば、標準コネクタを使うクラウドフローを作って動かせます。 ただし、会社の管理者が、使える範囲を設定で絞っていることがあります。動かない時は、IT部門に確かめてください。 Outlook・Teams・SharePoint・OneDrive for Business・Excel Online (Business)・承認(Standard approvals)は、標準の一覧に入っています。

ここでの「プレミアム」は、コネクタの区分の名前です。No.03で出てきたCopilotの区分「Premium」とは別物です。 プレミアムやカスタムのコネクタには、Power Automate Premiumなどの別の契約が要ります。 どのコネクタがどちらかは、各コネクタの公式ページで確かめられます。

③ 契約で変わる所

Microsoft 365についてくる範囲で、毎日使う連絡・ファイル・表の自動化はかなりできます。 一方で、次の物は別の契約が要る側に入ります。

自分の契約で何が使えるかは、Power Automateの画面の「設定」→「自分のライセンスを表示」(英語では Settings → View my licenses)で見られます。 契約の名前と区分は変わりやすいので、詳しくは公式で確認してください。

第4章 最初の1本を作る

① 例:毎週金曜に、週報づくりを始める合図を送る 必ず覚える

作り方は、Copilotに文章で頼む方法と、手で部品を並べる方法の2つです。おすすめは、先にCopilotで作ってみて、使えない時だけ手で作る順番です。 最初は、壊れても困らない小さな物から始めます。 例として「毎週金曜15時に、週報づくりを始める合図のメールを自分宛てに送る」フローを作ります。 週報づくりの中の、最初の1手順だけを自動化する例です。 スケジュール済みクラウド フローの例です。

Copilotで作る場合はこうです。

  1. ブラウザで make.powerautomate.com を開き、会社のアカウントでサインインする
  2. 「ホーム」で、Copilotで作る欄に、作りたい事を文章で書いて送る
  3. 出てきた案を見て、よければ「保持して続行する」(Keep it and continue)を選ぶ
  4. つなぐサービスに緑のチェックが付いているか確かめる
  5. 保存する

頼み方の例はこうです。

毎週金曜日の15時に、自分宛てに「週報づくりを始めてください」という件名のメールを送るフローを作って。

Copilotは管理者が止めていることがあります。 その時は、次の手順で手で作ります。

  1. 左側の「マイ フロー」を選ぶ
  2. 「最初から作成」を選ぶ。画面に「トリガーの追加」が1つ出る
  3. 「トリガーの追加」を選び、検索欄に Recurrence(繰り返し)と入れて選ぶ
  4. 間隔を「1」、頻度を「週」にし、曜日と時刻を決める
  5. トリガーの下の「+」を選び、「メールの送信」と検索して、Office 365 Outlookの「メールを送信 (V2)」を選ぶ
  6. 宛先に自分のアドレス、件名と本文を入れる
  7. 「保存」を選ぶ

② 動いたかを確かめる

保存したら、画面上の「テスト」を選び、「手動」(Manually)を選んでからもう一度「テスト」を選びます。 スケジュール型のフローも、手動のテストなら金曜15時を待たずに今すぐ1回動かせます。メールが本当に届くかを、その場で確かめるためです。 何をすれば試せるかの案内が出るので、その通りにします。 各手順に緑のチェックが付けば成功です。

動かなかった時は、フローの詳細にある「28 日間の実行履歴」を開きます。 どの手順で止まったかと、その時の入出力が見られます。

止めたい時は、「マイ フロー」でフローの「︙」から「オフにする」を選びます。 消さずに止めておけるので、試している間はこちらを使います。

③ 作る前に決めておくこと

フローは決めた通りにしか動かないので、作る前に紙に書いておくと迷いません。

3つ目は見落としやすい所です。 失敗した時に自分へ知らせる作り方は、No.09(後で出ます)で例と一緒に扱います。

○ 用語:トリガー=きっかけ/アクション=やる事/コネクタ=つなぐ部品/接続=サインインして作る許可
○ 日本語の画面では、ボタンの表記が版によって少し違うことがあります。見つからない時は英語名で検索欄に入れると出ることがあります
○ 1人が持ち主になれるフローは600本までです(公式の「Limits of automated, scheduled, and instant flows」より)
○ 関係する単元:No.01(効率化の見つけ方)。どの作業を自動化するかの選び方はそちら

フローは「きっかけ(トリガー)→動作(アクション)」。まずクラウドフローで作り、つなげないアプリだけデスクトップフロー。Microsoft 365の契約で使えるのは標準コネクタまで。

確認問題

問1 「毎月1日の朝9時に、部品表の確認を担当者に呼びかけるメールを送る」フローを作りたい。どの種類を選ぶか。

問2 古い社内の部品管理システムに、毎日同じ項目を手で入力している。このシステムにはつなぐ部品(コネクタ)が無い。どれを使うのが合うか。

問3 フローを保存しようとしたら保存できない。トリガーは「毎週金曜15時」を設定してある。考えられる原因はどれか。

出典: - https://learn.microsoft.com/en-us/power-automate/flow-types - https://learn.microsoft.com/ja-jp/power-automate/overview-cloud - https://learn.microsoft.com/ja-jp/power-automate/get-started-logic-flow - https://learn.microsoft.com/en-us/power-automate/run-scheduled-tasks - https://learn.microsoft.com/en-us/power-automate/work-with-triggers-actions - https://learn.microsoft.com/en-us/power-automate/flows-designer - https://learn.microsoft.com/en-us/power-automate/desktop-flows/introduction - https://learn.microsoft.com/en-us/power-automate/desktop-flows/requirements - https://learn.microsoft.com/en-us/power-platform/admin/power-automate-licensing/types - https://learn.microsoft.com/en-us/power-platform/admin/power-automate-licensing/deep-dive-on-specific-license - https://learn.microsoft.com/en-us/connectors/connector-reference/connector-reference-standard-connectors - https://learn.microsoft.com/en-us/power-automate/limits-and-config

お知らせ:2026-11-08時点の公式に基づく。画面の表記・契約の区分は変わることがあります。