Microsoftで仕事を軽くする講座

区分1 考え方★★★

No.02 Microsoftの道具の地図

Microsoftの道具の顔ぶれと、どの作業にどれを当てるかの地図を作る回です。卒業課題の「振り分け」はこの単元の考え方で行います。★★★よく使う。この回はしっかり読みます。
目次
  1. 第0章 前提知識
  2. 第1章 4つの道具の顔ぶれ
  3. 第2章 4つの道具の関係
  4. 第3章 どの作業に、どれを当てるか
  5. 確認問題

第0章 前提知識

① Microsoft 365:会社で使っているWordやTeamsのまとまり

Microsoft 365(マイクロソフト サンロクゴ)は、Word・Excel・PowerPoint・Outlook・Teamsなどをまとめて使える契約のことです。 あなたの会社でもすでに入っている前提で話を進めます。 この講座の道具は、どれもこの上に乗っています。

② 生成AI:文章や表を、頼んだ通りに作ってくれる仕組み

生成AI(せいせいエーアイ)は、言葉で頼むと文章・要約・表などを作って返してくれる仕組みです。 Copilot(コパイロット)は、Microsoftの道具に入っている生成AIの名前です。 英語で「副操縦士」という意味で、操縦するのはあくまで人、という考え方が名前に込められています。

③ ライセンス:誰がどの機能を使えるかを決める契約の区分

ライセンスは、使う人ごとに割り当てる「利用の権利」です。 同じ会社の中でも、人によって割り当てが違うことがあります。 自分に何が割り当てられているかは、IT部門が決めています。

○ 混ざりやすい言葉:「Copilot」とだけ書かれている時は、無料の方か有料の方か、どちらの話かを確かめます。この単元の第1章で分けます

第1章 4つの道具の顔ぶれ

① Copilot Chat:聞けば答える、無料側のAI 必ず覚える

Copilot Chatは、会社のアカウントでサインインすれば使えるAIのチャットです。 公式では、対象のMicrosoft 365の契約に含まれる基本の体験とされています。 質問や下書き、要約などを、会話でお願いできます。

答えの材料になるのは、主にインターネット上の情報です。 社内の資料を使ってほしい時は、ファイルを添付するか、内容を貼り付けて渡します。 OutlookやTeamsの中で使う時は、開いているメールなどを読んで答えてくれます。

② Microsoft 365 Copilot:社内の情報まで見に行く、有料側のAI 必ず覚える

Microsoft 365 Copilot(有料のCopilot)は、追加のライセンスを買って使う方です。 いちばん大きな違いは、あなたのメール・ファイル・会議などの社内の情報を、自分で探して答えに使えることです。 ファイルを毎回添付しなくても、「先週の打ち合わせで決まったことは?」と聞けます。

Word・Excel・PowerPoint・Outlook・Teamsの中にも深く入り込んで動きます。 ただし、どこまで使えるかは契約や会社の設定で変わります。 無料側との細かい違いは、詳しくはNo.03(後で出ます)で扱います。

③ エージェント:役割と資料を持たせたCopilot 必ず覚える

エージェントは、Copilotに「決まった役割」と「決まった資料」を持たせたものです。 公式では、特定の分野に合わせた専門のAIアシスタント、と説明されています。 たとえば「社内の設計標準だけを見て答える係」のように作れます。

作る場所は主に2つあります。 1つはCopilotの画面の中にある「エージェント ビルダー」で、会話しながら簡単に作れます。 もう1つは「Copilot Studio」で、ほかのサービスとつなぐなど、もう一歩進んだ物を作る場所です。 作り方は、詳しくはNo.07(後で出ます)で扱います。

④ Power Automate:決まった手順を自動で動かす道具 必ず覚える

Power Automate(パワー オートメイト)は、作業の流れを自動化する道具です。 ここで作る自動化を「フロー」と呼びます。 「メールが届いたら」「毎朝9時になったら」といったきっかけで、決まった動作を順に行います。

フローには2種類あります。 クラウドフローは、TeamsやOutlook、SharePointなどのサービスどうしをつないで動きます。 デスクトップフローは、パソコンの上でアプリやファイルの操作を代わりに行います。 作り方は、詳しくはNo.08(後で出ます)で扱います。

第2章 4つの道具の関係

① 2つのCopilotは「同じ窓口の、見える範囲の違い」

Copilot Chatと有料のCopilotは、別々の製品というより、同じ窓口で見える範囲が違うものだと考えると分かりやすくなります。 無料側は、主に外の情報と、あなたが手渡した資料を見ます。 有料側は、それに加えて社内のメールやファイルまで自分で見に行きます。

図にすると、次のような関係です。

○ Copilot Chat:インターネット+あなたが渡した資料
○ 有料のCopilot:インターネット+あなたが渡した資料+社内のメール・ファイル・会議
○ エージェント:どちらかのCopilotに「役割」と「決まった資料」を足したもの
○ Power Automate:Copilotとは別の道具。決まった手順を、きっかけに応じて動かす

② エージェントはCopilotの「専門係」

エージェントは、Copilotの外にある別物ではありません。 Copilotに役割と資料を固定して、同じ種類の質問に毎回同じ前提で答えさせるものです。 新しく入った人に毎回同じ説明をする代わりに、説明係を1人置いておくイメージです。

なお、どんな資料を持たせられるかは、契約によって変わります。 公式の比較表では、インターネットの情報を使うエージェントはCopilot Chatでも使えるとされています。 社内の情報を使うエージェントは、使った分だけ払う形か有料のCopilotが必要です。

③ Power Automateは「考える」より「動かす」

CopilotやエージェントがAIで考えて答えを作るのに対して、フローは決められた順番どおりに動きます。 毎回同じ結果になるので、手順が決まっている作業には向いています。 逆に、毎回中身が違う文章を書くような作業には向きません。

○ よくある勘違い:「エージェントもフローも自動で動くから同じ」は×。エージェントは頼まれて考えて答える係、フローはきっかけで決まった手順を動かす仕組みです
○ 深追いしない:Copilot StudioにもAIを組み込んだ自動化の機能があり、境目は年々近づいています。この講座では上の分け方で考えます

第3章 どの作業に、どれを当てるか

① 3つの問いで振り分ける 必ず覚える

No.01で挙げた候補の作業に、次の3つの問いを順に当てます。

短く言うと、毎回違うならCopilot/同じ質問のくり返しならエージェント/同じ手順のくり返しならフローです。 卒業課題では、この振り分けとその理由を説明します。

② 架空の設計グループの候補に当ててみる

No.01の架空の例で挙がった作業に当てると、次のようになります。

作業 当てる道具 理由
試験報告書の下書きを書く Copilotで聞く 試験ごとに中身が違い、文章を考える作業だから
打ち合わせの議事録をまとめる Copilotで聞く 会議ごとに中身が違い、要約する作業だから
過去の仕様書を探して、問い合わせに答える エージェントに任せる 同じ資料をもとに、似た質問がくり返されるから
出図の承認を関係者に連絡する Power Automateで自動化 毎回同じ相手に、同じ形の連絡を送るから
試験装置のCSVデータを決まった場所に集める Power Automateで自動化 置き場所と手順が毎回同じだから

同じ「データの整理」でも、集めて決まった場所に置く部分はフローに向きます。 一方、グラフを見て傾向を読む部分はCopilotに向きます。 1つの作業が2つに分かれることはよくあるので、迷ったら作業をもう一段細かく分けてください。

③ 無料か有料かは、振り分けの後で考える さらっと

振り分けで「Copilotで聞く」になった作業は、まずCopilot Chatで試せるかを考えます。 資料を手渡せば済む作業なら、無料側で足りることが多いです。 「社内のメールや会議をまたいで探してほしい」作業だけは、有料のCopilotが要るかもしれません。

○ 公式の表記について:公式では、アプリの名前が「Microsoft Copilot」「Microsoft Copilot Chat」に変わりつつあり、ライセンスも「Basic」「Premium」と書き分けられています。この講座では呼び名を「Copilot Chat」と「Microsoft 365 Copilot」にそろえます
○ 自分が使えるのがどちらかは、Copilotの画面や表示されるラベルで分かることがあります。はっきりしない時はIT部門に確認します。詳しくはNo.03とNo.10(後で出ます)
○ 関係する単元:作業の書き出しはNo.01

毎回中身が違う作業はCopilotで聞く。同じ資料で同じ質問がくり返されるならエージェントに任せる。同じ手順のくり返しはPower Automateのフローで自動化する。

確認問題

問1 有料のCopilot(Microsoft 365 Copilot)とCopilot Chatの違いとして、本文の説明に合うものはどれですか。

問2 社内の設計標準について、若手から毎週似た質問が来ます。答えはいつも同じ資料に載っています。当てる道具として最も合うのはどれですか。

問3 「出図の承認が下りたら、毎回同じ関係者に同じ形の連絡を送る」作業に当てる道具はどれですか。

問4 エージェントとフローの違いの説明として正しいのはどれですか。

お知らせ:製品名・ライセンスの区分・使える機能は2026-11-08時点の公式に基づきます。変わりやすいので、使う前に公式で確認してください。

出典: - https://learn.microsoft.com/en-us/copilot/plan/copilot-overview(What is Microsoft Copilot?:ライセンスごとの違い、エージェントの扱い) - https://support.microsoft.com/copilot-microsoft365-chat(How Copilot Chat works with and without a Microsoft Copilot license) - https://learn.microsoft.com/en-us/microsoft-365/copilot/extensibility/agents-overview(エージェントの説明) - https://learn.microsoft.com/ja-jp/microsoft-365/copilot/extensibility/agent-builder(エージェント ビルダーの概要) - https://learn.microsoft.com/en-us/microsoft-copilot-studio/fundamentals-what-is-copilot-studio(Copilot Studioの概要) - https://learn.microsoft.com/ja-jp/power-automate/overview-cloud(クラウド フローの概要) - https://learn.microsoft.com/en-us/power-automate/desktop-flows/introduction(デスクトップフローの紹介)